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私の祖父母は新潟の古志郡(現・長岡)から昭和初期に上京し、
東京・四谷に酒屋を営み始めました。
祖父母は、子供7人を育てながら
戦中・戦後をたくましく生き抜き、
その姿をみて育った母も祖父母の強さを受け継ぎました。
幼い頃の私の記憶は、
四谷の小さな酒屋の片隅に静かに座り、
母が近所の人たちに酒を注ぐのを見ていました。
人々は母を「お母さん」と呼び、
笑い、語り合い、時には涙を流しました。
酒の香り、瓶がカチャカチャと鳴る音に囲まれて。
私たちの小さな酒屋は、単なる酒屋ではなく、
人々が繋がり、グラス一つ一つに
優しさが注がれる場所でした。
その精神は、私が気づかないうちに
私の一部となっていました。
母の姿を通して、
「誠実に生きること」
「人とのご縁を大切にすること」
を学びました。
両親の教育方針で幼い頃から英語に親しみ、
学生時代には
アメリカでのホームステイを経験。
社会人になってからは、グローバル企業で
サプライチェーンマネジメントの分野で
キャリアを積んできました。
そして2024年、人生の転機が訪れます。
変革とダイバーシティの中でどのように
うまくチームを成功に導けるか模索し、
スタンフォード大学経営大学院の
LEADプログラムに参加していた時のこと。
起業家たちが集まり、何かを築き、
インパクトを与え、リスクを負っていました。
彼らは情熱的で、恐れを知らない人たちでした。
ある日、オーストラリア人の講師との
キャリアについての個別指導で、
私は何気なく家業の話をしました。
講師は、「君の物語はすでに君の家族の中にある。
君はそれを世界に伝えるだけだよ」と言いました。
もしかしたら、私の物語は伝統性か
現代性のどちらかを選ぶことではなく、
それらを結びつけることなのかもしれないと
気づいたのです。
私は会社の名前を「イルクオーレ」としました。
これはイタリア語で「心」を意味します。
それは、蔵人の心、母と祖父母の心、
そして日本と世界をつなぐ
私自身の心を象徴しています。
今、私の人生を振り返ると、
英語を学ぶようにという両親の夢、
グローバルビジネスに携わった年月、
そしてスタンフォード大学で出会った思いがけない出来事が、
私をここに導いてくれたことが分かります。
人生は一直線に進むことはほとんどありません。
時には、何年もぐるぐると回り続け、
ようやく自分がずっと本当の物語の上に立っていたこと、
そして真の自分の道に気づくこともあります。
様々なご縁を大切に、新潟から東京、そして世界に向けて、
造り手の想いやこだわりのある
美味しいお酒をお届けしたいと思っています。
一本ずつ、一つずつ、心を込めて。
株式会社IL CUORE
代表取締役 佐藤 美恵子
日本酒の魅力を、綴る